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わたしのキセキ


 絵本『わたしのキセキ』        ストーリー紹介


あらすじ

まっくらな世界に一人住んでいた月。

彼女の憧れの存在はみんなの人気者だった。


彼を羨むあまり、自分を見失ってしまった少女に手を差し伸べた太陽と自分探しの旅に出る
優しい、心温まる冒険物語。

絵本『わたしのキセキ』専用サイト

このサイトは私が大学で作り上げた絵本『わたしのキセキ』を紹介する専用サイトです。


イラスト、文章に時間をかけ、丁寧に仕上げた作品を
より多くの人に見てもらいたいという思いで作られています。

画面全体のレイアウトは全て、作品の見やすさを重視したものであり、
ストレス無く見てもらえるよう工夫しています。




 わたしのキセキ:ストーリー


 自分探しの旅

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私は月。まっくらな夜に住んでるの。 彼は太陽。私の憧れで人気者。 彼の世界ではみんないつも楽しそうに遊んでる。幸せそうでいいな。

私の時はみんないつも静かで、寂しいから。 私は彼になりたい。 どこからか聞こえる。



「大丈夫。あなたは私たちの家族」
星さん?


「大丈夫。あなたはとても綺麗で興味深い」
大人さん?


「大丈夫。君にだっていい所はある」
太陽くん?


今日は月と太陽が一緒に過ごせる日食の日。
「僕がいい所に連れて行っていってあげる」


言われた先にあったのは小さな扉。
「さぁ行こう。君探しの旅へ」




 光

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目を開くと、私みたいにまっくらな空間 太陽くんがいるのに何にも見えない。 でもゆっくりと光が広がっていく。


光の元は太陽くん?


「違うよ月さん。この光は僕じゃない。
ほら、ちゃんと自分を見て」 光っていたのは、私?


「そりゃそうさ。君がいないとまっくらなままなんだよ、夜は」

ちっぽけな事だったけど、私には充分。 ちょっと素敵かも、そんなことを思う度に暖かい光が広がった。




 綺麗な世界

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「四季があるのも君のおかげだよ。

花のいい匂いも、暖かい草原も、黄色いオシャレを楽しむ景色にだって君も僕も必要なんだ」


冷たい木に触ってみた。でも私は太陽くんじゃないから…




 見えないもの

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「ねぇ、そこで何をしているの?」


顔を出したのはかわいい手編みのマフラー。 びっくり。立っていたのは透明な女の子。

自分が見えないからマフラーを巻いて相手に見せようとしているんだって。


「月さんがね、自信がなくて、自分を見ようとしないんだ」
「もしもし、お月さん。大事なこと。私はね。自分自身を見ようとしなくなったある日から、透明人間になっちゃった。
あなたも自分を見失ったままだと、いつか透明になっちゃうよ。どうか私のように、ならないでね」


分からなかった。

本当に見なきゃいけないものってなんだろう。




 大切なもの

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次に向かったのはきらきら光るよるの街。


「おやおや、小さな妖精さんたちこんばんは。こんな時間にお散歩かい?」
望遠鏡を覗く大人さんに声をかけられた。

大人さんは何をしているの?


「夜を見ているんだよ。いつもは月を見ているんだけど、今日はお出かけ中みたいだね。」
私を?太陽くんの方がずっと眩しくて輝いているのに。

「月さんがね、大切なものが分からないんだって」


「星空を見るには、周りが明るすぎても、雲があってもだめなんだ。大切なものほど見えにくいって不思議だね。
でも星空はいつでも僕らを見ている。
君の大切なものも、見えにくいってだけで案外すぐそばにあるかもしれないよ」


やっぱり分からない。

私の大切なものってなんだろう。




 一番輝いていたもの

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「このまま雲の上まで昇って君の家族を見に行こうよ」

手を引かれて見えたのは満天の星々の海。


「夜の海が輝くのも君のおかげだよ」
たくさんの光が踊る中で、ぽつんと光らない星が座り込んでいた。


星さんこんばんは。何をしているの?


「釣りをしているんだよ。もう何万年もね。 私の夢が釣れるのを待っている。
何を釣りたかったのか忘れてしまう時もあるけど、諦めない心で釣りを続けているよ」


「月さんに、諦めない心を教えてあげて」

「諦めない気持ちは心の光になるから私は続けている。心の光ってのはなかなか消えるものではないから、君の中にもきっとあるはずだよ。
ほらよく見ていて、やっときたんだ!私の光が呼んだんだよ!」

見たことの無い海の揺れと一緒に、星空みたいに大きな大きな魚が天高く飛んだ。



「私の夢が叶った!」





 愛されること

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気がつけばそこはもう朝の世界。

「幸せそうだったね。星さん。
でもまだまだ君の世界で起こる笑顔はあるんだ」

指の示す先にあったのは小さなお花。


「はじめまして、お月様。あなたに会いたかった。
私は1年に1度だけ夜に咲くことができる花です」


「ほら、月さん。夜を運んであげて」
私の寂しくてまっくらな夜が欲しいの?

小さなお花さんのお願いで、暗い夜の毛布をかけてあげた。


なんて綺麗なお花さん。その優しい咲き方に、心がぽかぽかした。

「今日は私にとって最高の日。お月様がかけてくれた毛布のおかげで、
私は朝の世界も、待ち遠しい夜の世界も1日中見ることができる。 こんなに幸せな日ははじめて。

ありがとうお月様。私は貴方が大好きよ」


お花さんは幸せそうに笑った。

なんでこんなに嬉しい気持ちなんだろう。




 本当の自分

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太陽さんはすごいね。私、今とっても幸せな気持ち。

「その気持ちは僕が作ったんじゃないよ。
君の世界で、みんなが幸せだったから君も嬉しいんだ。聞こえる?みんなの笑顔と幸せの声。

君の夜には楽しいがたくさんある」


私の夜はこんなにも光っていたの?


「そうさ、君も初めからずっと光っていたんだよ。僕一人じゃみんなを支えられない。
君がいてくれるから、僕も安心してみんなを照らせるんだ。

満月は豊かさの象徴なんだって。君の中にあるたくさんの奇跡はみんなを幸せにする。


自分が大切な存在であることを忘れないでね」




わたしのキセキ

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「日食がおわるね。

魔法のような時間はおわっちゃうけど、君の魔法はこれからも続くよ。
遠い遠い日食の時に、また逢おうね。

今度は僕の奇跡を見せてあげる」


そう言って太陽くんはきらきらと帰っていった。


ありがとう太陽くん。

また逢える日までばいばい。