日々の生活での様々なやり取りや出来事の中から題材や想を得て、次々と作品を生み出していく。永島正人が使っているのはサクラクレパス、それも殆どの作品で基本の12色の範囲で描いているのだ。画用紙は八つ切りか四つ切りのものを単独で、あるいは複数枚並べて描く。文房具店で手に入る簡素な画材のみで作品を作り上げているのだが、独特のリズムを持った塗り込めによるマチエル、またその色面構成の巧みさから、見る者皆そのことに直ぐには思い至らないのではなかろうか。
モチーフの描き方には確かに記号的な側面も強く存在する。ただ、それは飽くまでも徹底して画面の中の造形的要素として扱われ、でなければ説明できない絶妙なバランスや配置がそこにはある。幼少期からこれまで描いてきた毎日一作に近いその何千点にも及ぶ作品群の中で、繰り返し描かれる同じモチーフの表現の変遷を注視すれば、それが正に彼の芸術的修練の軌跡を表していることにも得心されよう。
実は、描き始めてのち仕上げずに途中で作品を投げ出すことを彼は殆どしない、とにかく仕上げてしまうのだ。内心納得いかずに終わったであろう作品や、新しい試み・題材に向かって手探りで枚数を重ねた習作といっても構わないもの等々、その膨大な作品群の中にはあまた混在する。
初めて彼の作品に出会ってから二十年以上になるが、いまも展覧会開催準備等で新作を見せてもらう機会には、彼の新しい表現・試みを楽しむ一方、その意図や核心部分を自分が理解できているのか?習作と完成作を本当に峻別できているのか?愉楽と緊張が都度交錯するのだ。
企画協力/セルフソウアート・村上稔
2015.05.01
- イベント・展示
永島正人クレパス画の世界
開催期間 | 2015年5月11日 〜 2015年5月27日 |
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備考 |
■後援 株式会社サクラクレパス |
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