平成29年度アートキュレーション演習成果発表展「Role Playing Practice:1つと7つの並行世界」
平成29年度横浜美術大学コンテクストアーツ科目アートキュレーション演習の成果発表展として、受講生による大学所蔵作品を活用した展覧会を開催します。
キュレーターは自らの批評性によって、美術の歴史を相対化し再編しながら一つのコンテクスト(文脈)を構築します。そして展示という場において、過去、そして同時代の作品をもってそれを可視化させます。それは言うならば、未来の創造のためのアーカイブの再考でもあると言えましょう。
一方美術大学の学生にとって、美術史とは自己の表現を裏付けるレファレンスの一つといえます。学生もキュレーターと同じように/とは異なる視点で美術史を相対化し、自らを代弁させ、再編しながら「自分の作品史」を作り上げてゆきます。こうした「制作のためのアーカイブ」として作品を見つめることにより、歴史上の美術は現代に再び生を取り戻します。
では、現代に生き制作を行う学生が、美術史上の作品を実際に「自分の作品」として語り、展示することができるとすれば、つまり制作者/キュレーターという2つの役割を担いアーカイブに同化することができるとすれば、そこにどのような過去と現在の、自己と他者の接続が試みられるでしょうか。どのように新たな作品史が紡がれるでしょうか。
授業ではゲスト講師として山田麗音氏/(株)Loftworkクリエイティブディレクターを招き、吉田誠氏より本学に寄贈された1980年代を中心とする国内外の美術作品、ならびにトキワ松美術短期大学時代からの卒業制作作品についてリサーチ、セレクトを行い、学生の新鮮な視点でその意味や価値を議論しました。その上で学生各自が自分の個展を行うという趣旨のもと、展覧会テーマ、作品タイトル、会場構成、作品演出を企画立案しました。
本展は、大学のアーカイブについて、教育的観点から考える美術大学ならではの実践です。7人の学生が歴史的作品とどのように向き合い語るのか、お楽しみいただければ幸いです。